とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

雑記

「私、ビール苦手なので!」って言えなくなった話

子供の頃、大人は皆ビールが好きだと思っていた。 というか、ビールを美味しく飲める人が大人だと思っていた。 ゴクゴクと喉を鳴らしてビールを胃に流し込む映像はビールCMの王道だった。そして、そんな王道CMでは、飲み口から唇を離した後の第一声は必ず「…

春は短し目覚めよ私

春はどうも眠い。 体の周期的に眠気がガツンと来る時期にちょうど重なった今は更に眠い。 平日はというと、夕飯を食べてからまず寝る。数十分後に起きてお風呂に入り、その後に本を読もうとするもウトウト。結局何も手につかず寝てしまう。何の予定もない日…

春になると

春になると花を植えたくなる― ホームセンターのガーデニングコーナーは花を求める人で溢れていた。 なんだか心が温かくなった。 「あら綺麗ね!」 「この花可愛い!」 「どこに植えようかな」 まだ背丈の小さな花や蕾の状態の花を見つめる眼差しは、みな優し…

フィルムカメラと写真に関する備忘録【後編】

フィルムカメラで写真を撮ることの魅力は何か。 “光”と向き合えることかもしれない。 例えば、少し暗めの写真が好きなので、露出計で示されたF値よりも絞ってみたとする。シャッターを切る瞬間、ほんの少し太陽に雲がかかり、光が弱まったことに気がつかずそ…

フィルムカメラと写真に関する備忘録【前編】

中古のフィルムカメラを買った。 前に使っていたものが壊れてしまったため、いいものがないか探していたところ、直感的に「これだ!」というものに出会った。「Konica ⅡB」というカメラだ。調べてみると1955年販売開始のようだった。ということは今から約70…

雪が降らなくなった冬を生きるあなたへ

拝啓 雪が降らなくなってどれくらいたったでしょうか。 雪の冷たさや白さは覚えていますか。 ちなみにこの手紙を書いている今は、10年に一度といわれる寒波が襲来していて、骨まで染みる寒さにかろうじて耐えてます。嘘です。温かい室内でコーヒーを飲みなが…

あと少しで今年も終わるけれど

カレンダーを見て驚愕する。 気がついたらもう30日になっていた。 毎年のことだが、12月はカレンダーを見るたびに「え? もう○日?」と言ってしまう。別に焦っているわけではない。だって、12月で世界が終わるわけではないのだから、そもそも“やり残したこと…

信じた道を進む強さ

◆観た舞台 舞台『ジャンヌ・ダルク』 演出/白井晃 脚本/中島かずき(劇団☆新感線) 出演/清原果耶、小関裕太ほか 【東京公演】2023年11月28日~12月17日 東京建物 Brillia HALL 【大阪公演】2023年12月23日~12月26日 オリックス劇場 演劇のおもしろさ、…

ピアノとダンスと想像と

◆観た舞台 『ある都市の死』 上演台本・演出/瀬戸山美咲 出演/持田将史(s**t kingz)、小栗基裕(s**t kingz)、小曽根真 【東京公演】2023年12月6日~10日 草月ホール 【大阪公演】2023年12月12日、13日 サンケイホールブリーゼ 戦争を生き抜いたポーラ…

「寂しい」と似て非なる感情

不意に、寂しいような気がする時がある。 それは、一人でいる時だけではない。周りにたくさん人がいる時もだ。でも、周りにたくさん人がいるのに寂しいってどういうことだ? とりあえず、辞書で意味を調べてみた。 さびしい【寂しい】 ①人やものが少なくて、…

陶芸体験記

はじめて陶芸体験をした。 陶芸で使う土の塊を実際に持ってみると、思っていたよりもずっしり重かった。土の感触はとても滑らかで冷たく、触れていて心地よかった。形の異なる湯飲みを二つ作ろうと思い、球状にまとまっていた粘土を糸のような用具で半分にし…

本を読まなくなると…

以前よりも本を読まなくなった。 本を読むとあれこれ考えを巡らせてしまう。あの表現がめちゃくちゃ好きだとか、あれってどういう意味なんだろう、とか。その時間が好きだった。しかし、それによって影響を受けるものがある。仕事だ。何かにどっぷり浸かると…

雲を見下ろして

機内にて。 離陸から数十秒後には雲を見下ろしていた。 普段地上で生活をしていて、雲を見上げるとは言うが、雲を見下ろすという言葉を口にすることはまずない。久しぶりに雲を見下ろすと言った。天気がよかったので、白塊の群れの間から地上の景色が見える…

あなたをなんと呼んだらいいか?

ニュースを見ていて気になったことがあった。 取材をしている記者が、インタビュー相手のことを「お父さん」と呼んでいたことだ。なぜ他人なのに「お父さん」と呼ぶのだろうか。二人称と言えば「あなた」だが、日常会話であまり使わない気がする。街頭インタ…

静寂と歓声

ハンガリー・ブダペストで世界陸上が開催されている。普段スポーツは全く見ないが、陸上だけはつい見入ってしまう。私自身もともと走ることが好きで、学生時代は陸上競技をやっていた。あの選手のここがすごい、など詳しいわけではないが、世界トップクラス…

何を見るか、何が見えるか

写真が好きだ。何だかざっくりした表現なのでもっと具体的に言うと、シャッターを切りたくなるような構図や色に出会った瞬間のワクワク感が好きだ。とりわけフィルムカメラは、現像するまでどんな写真が撮れているかわからないので、現像してもらった写真を…

冷めない香り

大学時代、夫婦で営んでいる小さなお弁当屋さんに週に一度か二度通っていた。お弁当屋さんからはいつも揚げ物の香りがしていた。その香りを嗅ぐと、不思議と心がほぐれていった。 一人暮らしを始めた当初は、なるべく自炊をしようと意気込んでいた。だが元々…

マンゴーかき氷×3

母と祖母と台湾料理の店に行った。 この時期限定のマンゴーかき氷を食べることが一番の目的だった。この時期を逃してしまうと次は1年後になってしまう。普段は食に対してこだわりがない私だが、あのおいしさを分かち合いたいがために店を予約した。天気は快…

「わたし」の破片を持つ「あなた」

大学時代、友達が面白いことを言っていたのを思い出した。 「たとえ別れてもさ、ずっと私のことを忘れないでほしい。それで、別れたあの人がふとした瞬間に自分のことを思い出してしまうようなら、私は勝ったと思うね。」 飲み会で恋愛の話になったとき、友…

それは単なる偶然

自分にとってよくないことが起こった時ほど、単なる偶然に意味を見いだす傾向が強いと感じた(自分自身が)。そして偶然に意味を見いだすことで自らをさらに悪い方へ誘導しているような気もする。 例えば、夕食の準備をしている最中に、包丁が指にあたって切…

ある小さな崩壊

最近まで、家の中でチューリップを飾っていた。 日中は花びらが大きく開いていた。横から見ると可愛らしい湯飲みのような形に見えるのだが、上から覗くとおしべとめしべがはっきりと確認できるものだから、なんだか見てはいけないものを見てしまったような気…

無知の恐怖

先日、祖母から相談されたことがある。それは、スマートフォンの料金プランについてだった。契約時の話を聞いて、契約書やプランの内容を読んで憤りを覚えた。なぜか。オブラートに包まずに言えば、“無知な消費者を食い物にしている”と感じたからだ。販売し…

自らを欺く勿れ

「好きな季節は何ですか?」 と問われたら、何と答えるだろうか。この場合、春夏秋冬のどれかを答えればいいのだが、私はすぐに答えることができなかった。なぜか。それは、自分の好きな季節が、春夏秋冬のどれでもあり、どれでもないからだ。言っている意味…

渇き。

幼い頃は、物に振り回されていた。 例えばチョコレート菓子とセットになっているおもちゃのネックレス。よく覚えていないがネックレスは10種類くらいあったと思う。それを集めるのにはまってしまい、スーパーに行くと必ずお菓子コーナーに行き、母の買い物カ…

こんな所に道があったとは

しまった、キャッシュカードの暗証番号を忘れた。 口座を開設後、初めて現金を引き出すというおめでたい日に、ATMの前でフリーズした。口座の暗証番号なんて、頭の中のどの辺を検索すれば見つかるのだろうか。よく使うメールアドレスやID、パスワードは記憶…

魂が震えた3分30秒

年末が近くなるにつれて増えるのが大型の音楽番組。その年に流行った曲に混ざり、往年のヒット曲なども過去の映像とともに流れてくる。いわゆる“名曲”といわれるものは何十年たっても“名曲”であり、音楽番組で度々流される。私が名曲と聞くといつも思い出す…

ホームセンターのウサギ

よく行くホームセンターの一角にペットコーナーがある。ペットを飼う予定はないが、ケージの中で何をして過ごしているのか気になり時々見に行ってしまう。 忙しなく動き回っている犬もいれば、静かに食事をしているウサギもいた。眠っているハムスターもいた…

色祭―しきさい―

青空に映える“赤い華”、見事な紅葉を見た。 花の赤とは違う種類の赤のような気がした。塗り重ねた濃厚な赤ではない。発光するような鮮やかな赤だ。紅葉が見頃の場所で、葉の様子をしばらく観察していた。風が吹くとまるで桜吹雪のようにひらひらと、いや、 …

夢を持たない夢追人

「夢がある人っていいよね」 大学3年の頃、友達の一人がこう呟いたのを覚えている。 その時は、就活の話から今後の人生設計についての話に至るまで、結構真面目な話をしていた気がする。大学生は学年が上がるにつれ、日常会話の中に“シューカツ”という単語…

〈モナ・リザ〉と永遠の美

「この人みたいにずっと年取らなきゃいいのにな」 私の透明なスマホケースに入っている〈モナ・リザ〉のステッカーを見て、祖母はボソッとこう言った。冗談っぽい口調だったので本当にそう思っていたわけではないと思うが、そういう見方もあるのかと、新しい…