とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

2022-01-01から1年間の記事一覧

魂が震えた3分30秒

年末が近くなるにつれて増えるのが大型の音楽番組。その年に流行った曲に混ざり、往年のヒット曲なども過去の映像とともに流れてくる。いわゆる“名曲”といわれるものは何十年たっても“名曲”であり、音楽番組で度々流される。私が名曲と聞くといつも思い出す…

生活駄文・二

11月某日 ガソリンスタンドにて。絶対にあり得ない言い間違いをした。 「現金で、レギュラー15ミリリットルお願いします」 言い終えてから、口がなんとなく気持ち悪い気がしたが間違いに気がつかなかった。店員さんは一瞬の沈黙の後、 「15リットルです…

過去に学び、過去をつくる

◆読んだ本 『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』/ジェイムズ・リーバンクス、濱野大道訳/早川書房/2018年 羊飼い、と聞くと、自然豊かな広い土地で太陽の光をたっぷり浴びながら羊やほかの動物たちと暮らしている人、というイメージだった。しかし…

磨き続けて美しく

">◆読んだ本 ">『たしなみについて』/白洲正子/河出書房新社/2017年 「若いときよりも頭の回転が遅くなった気がする…」「若い子はいいね」「今さら夢を追うなんてね…」こんな言葉が飛び交っているのを聞いたことがある。なぜ年齢を重ねるにつれて、“でき…

決して奪われることのない自由とは

◆読んだ本 『夜と霧 新版』/ヴィクトール・E・フランクル、池田香代子訳/みすず書房/2002年 "> ">人生は選択の連続だ。このことは、選ぶ余地がないという状況でも同じことが言えるのだろうか。 例えば、強制収容所の中。極限まで人間としての尊厳、そして…

ホームセンターのウサギ

よく行くホームセンターの一角にペットコーナーがある。ペットを飼う予定はないが、ケージの中で何をして過ごしているのか気になり時々見に行ってしまう。 忙しなく動き回っている犬もいれば、静かに食事をしているウサギもいた。眠っているハムスターもいた…

色祭―しきさい―

青空に映える“赤い華”、見事な紅葉を見た。 花の赤とは違う種類の赤のような気がした。塗り重ねた濃厚な赤ではない。発光するような鮮やかな赤だ。紅葉が見頃の場所で、葉の様子をしばらく観察していた。風が吹くとまるで桜吹雪のようにひらひらと、いや、 …

夢を持たない夢追人

「夢がある人っていいよね」 大学3年の頃、友達の一人がこう呟いたのを覚えている。 その時は、就活の話から今後の人生設計についての話に至るまで、結構真面目な話をしていた気がする。大学生は学年が上がるにつれ、日常会話の中に“シューカツ”という単語…

〈モナ・リザ〉と永遠の美

「この人みたいにずっと年取らなきゃいいのにな」 私の透明なスマホケースに入っている〈モナ・リザ〉のステッカーを見て、祖母はボソッとこう言った。冗談っぽい口調だったので本当にそう思っていたわけではないと思うが、そういう見方もあるのかと、新しい…

知らぬ間に、青アザ

なぜだがよく分からないが、知らないうちに青アザができていることがある。足や腕に。心当たりがあるかと思案してみても、特段思い当たることがない。誰かに殴られたわけでもないのでおそらく自分でどこかにぶつけたのだろう。その時は痛いと思ったかもしれ…

妄想米(コメ)旅行記

今、目の前には茶碗に盛られた白米があります。 炊きたてなのでしょう、湯気が立ち上っております。湯気に顔を近づけますと、熱気と共に米の香りが鼻腔を通って口の中まで侵入してきます。その柔らかい刺激は唾液の分泌を促します。口内はその米を受け入れる…

火葬場のおにぎり

日を追うごとに夜の時間が長くなってきた。秋場の空気は今年も人々を感傷的な気分にさせる。さあみんなでエモくなろうと言わんばかりのなんともいえない香りが漂い始めていた頃、祖父の葬儀は執り行われた。 祖父の葬儀の日は雲一つない秋晴れだった。火葬場…

惑う客

ファミレスで、デザートを注文したと仮定しよう。 そのデザートを食後に持ってきてもらうことにした場合、食べ終わったタイミングで店員さんに声をかけるべきなのか、それとも、食べ終わった雰囲気を精一杯醸し出し、「デザートお持ちしましょうか?」の声を…

150円

ブックオフに行った。 不要になった資格試験の問題集を売却するためだ。書き込み等は一切していないので状態は良好。これはゴミではない、問題集として別の誰かの役に立つ可能性がまだ十分にある、そう思い売ることにした。 新品の問題集は決してお手頃価格…

花は咲くまで分からない

昨年、祖父の三回忌の法要があった。セレモニーホールで住職さん(おそらく40代前半)にお経をあげてもらった後、そのままお墓参りに行き、再びホールに戻りソーシャルディスタンス昼食をとるというスケジュール。滞りなく全ての日程を終えたいというのは、…

生活駄文

手で切れると書いてあるシャンプーの詰め替え用の切り口が全く上手く切れないのはなぜだろう。開け方の問題なのだろうか。数ヶ月に一度訪れる、シャンプーやボディーソープの詰め替えという作業は、綺麗に開けられるか否かの勝負の時間となる。ということで…

大人の世界とこどものせかい

公園にて。 私はベンチで本を読んでいた。すると、自転車で、小学校中学年くらいの男の子が3人やってきた。男の子らは、遊具で遊び始めた。しばらくすると、芝生でサッカーをしていた別の男の子のグループ(年齢は同じく小学校中学年くらいだと思う)が、遊…

日常に潜む違和感

ある日の昼、職場のトイレに入ると、2~3人が列を成していた。その列というのは、ちょうど手洗い場の反対側の壁沿いにできている。ということは、用を足した人が手を洗い、ふと顔を上げると、列に並んでいる人と鏡越しに目が合ってしまうような位置関係なの…

熱狂のあとで

中学時代の美術の先生が授業開始前に話していたことを今でも覚えている。どんな話かというと、お祭り当日の熱気と活気に溢れた街もいいが、祭りが終わった次の日の静けさも趣があって好きだ、という話だ。夏の時期は花火大会や地域の夏祭りなど、イベントが…

ポストから見えたのは…

学生時代に、フリーペーパーのポスティングのアルバイトをやっていたことがある。大きめのリュックの中にフリーペーパーをパンパンになるまで詰め込んで、地図を片手にひたすらポストを目指して歩き回るというものだった。こんなに多く紙というものを背負っ…

水彩の記録

灰色の雲から、大きな雨粒が落ちてきた。車のフロントガラスにポロポロと当たっては弾け、その役割を終えたかのように力なくボンネットの方へ流れていく。また雨か。このところワイパーに仕事をしてもらう機会が多い。カラッとした晴天の日が恋しい。 そんな…

三人称の死と感情

例えば、生まれてから約1,000日で死んだ人がいる。その人は、社会の中ではほんとうに小さな存在で、誰かに守ってもらわないと生きていけなかった。その人は、守ってもらえなかった。その人が最後に見た景色は何だっただろうか。天井だっただろうか。誰もいな…

レイヤードワールド

私は演劇が好きだ。 映画も好きだが、演劇はもっと好きだ。なぜだろうと考えた。芝居を見ることが好きなら、別に映画でもドラマでも同じであるはず。でも、また何か違う惹きつけるものがあるのだろう。その日、その場所でしか味わうことができない貴重さがあ…

見せたくはないが、見えてもいいものを

暑さが体にまとわりつく、一年で最も不快な季節がやってきた。同時に、肌の露出増加に伴う諸々の気遣いの季節がやってきた。私が最近直面したのは、「インナーをわざと見せているのか、否か」問題である。 夏の時期は七分丈の開襟シャツを着ることが多い。サ…

ストレス的マスクライフ

職場の人の顔、覚えてますか? 私は最近、入社したときからマスクを付けていたがために、職場の上司や同僚の顔が思い出せなくなる時がある。というか、マスクを外した顔を見たことがあったっけ、という人もいる。もはやマスクに慣れすぎて、付けていないと気…