とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

読書

生の隣には

◆読んだ本 『小僧の神様 城の崎にて』/志賀直哉/新潮社/1968年 蜂の静かな死、死から全力で逃げ回る鼠、思いがけず殺してしまったイモリ。養生先での出来事が淡々と記された文から伝わってくるのは、筆者の心の静けさだ。穏やかとも冷淡とも違う、静謐さ…

暗がりと美的感覚

◆読んだ本 『陰翳礼讃・文章読本』/谷崎潤一郎/新潮社/2016年 漆器に触れる機会がほとんどなかった私は、漆器に美を見いだす感覚が分からなかった。正直に言えば、お吸い物が入っている黒とか赤で塗られた器という認識しかなかった。しかし、この本を読ん…

つながりとぜつえん

◆読んだ本 『絶縁』/著者:アルフィアン・サアット、チョン・セラン、郝景芳、韓麗珠、ラシャムジャ、連明偉、グエン・ゴック・トゥ、村田沙耶香、ウィワット・ルートウィワットウォンサー 訳者:及川茜、藤井光、大久保洋子、星泉、野平宗弘、吉川凪、福富…

働き方と暮らし方と家の形

◆読んだ本 『脱住宅 「小さな経済圏」を設計する』/山本理顕+仲俊治/平凡社/2018年 そういえば、どこの家も同じような作りをしていたっけ。幼い頃、友達の家へ遊びに行った時の記憶がふと蘇ってきた。大体1階にはリビングがあって、2階には寝室や子供部…

過去に学び、過去をつくる

◆読んだ本 『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』/ジェイムズ・リーバンクス、濱野大道訳/早川書房/2018年 羊飼い、と聞くと、自然豊かな広い土地で太陽の光をたっぷり浴びながら羊やほかの動物たちと暮らしている人、というイメージだった。しかし…

磨き続けて美しく

">◆読んだ本 ">『たしなみについて』/白洲正子/河出書房新社/2017年 「若いときよりも頭の回転が遅くなった気がする…」「若い子はいいね」「今さら夢を追うなんてね…」こんな言葉が飛び交っているのを聞いたことがある。なぜ年齢を重ねるにつれて、“でき…

決して奪われることのない自由とは

◆読んだ本 『夜と霧 新版』/ヴィクトール・E・フランクル、池田香代子訳/みすず書房/2002年 "> ">人生は選択の連続だ。このことは、選ぶ余地がないという状況でも同じことが言えるのだろうか。 例えば、強制収容所の中。極限まで人間としての尊厳、そして…