とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

磨き続けて美しく

◆読んだ本

『たしなみについて』/白洲正子河出書房新社/2017年

 

「若いときよりも頭の回転が遅くなった気がする…」「若い子はいいね」「今さら夢を追うなんてね…」こんな言葉が飛び交っているのを聞いたことがある。なぜ年齢を重ねるにつれて、“できない”ことが増えるのだろうか。なぜ、年齢を重ねるごとに若さを羨むようになるのだろうか。老いは人間の劣化なのだろうか。筆者は、本来人間は老いていけばいくほど美しくなるはずだ、と言う。“できない”のは年齢のせいではなく、単に自分がやらないからなのだ。年齢が若いか若くないかは、人生においてはそこまで重要ではない。だが、心が若いか若くないかは、人生を大きく左右するポイントなのだ。そして、心を若く保つには、よく学び、よく遊び、自分自身を磨いていくことが必要なのだと筆者は教えてくれた。

 

“自己を創造する”という言葉が印象的だった。それは、もともとある畑の土の質を見極め(自分自身と向き合う)、どんな作物が適しているかを考え(何を成すべきかを考える)、種をまき、水や肥料を与え、作物を育てていく(「わたし」を生きる)ことなのだと思った。