春になると花を植えたくなる―
ホームセンターのガーデニングコーナーは花を求める人で溢れていた。
なんだか心が温かくなった。
「あら綺麗ね!」
「この花可愛い!」
「どこに植えようかな」
まだ背丈の小さな花や蕾の状態の花を見つめる眼差しは、みな優しかった。
ところで、春になると花を植えたくなるのはどうしてか。
たくさんの種類の花が店頭に並んでいるからつい買ってしまう、というのは理由の一つかもしれないが、それだけだろうか。もともと花が好きだから、という理由もあるだろう。そういえば、「花は好きですか」という質問に対してYESと答える人は世界中にどのくらいいるのか気になる、が、今は脇に置いておく。花が好きなら花屋さんで切り花を買えばいいのではないか。まあ、確かにそうだ。綺麗に咲いている花を飾るのではなく、あえて花を植える、つまり、自分で育てることを選ぶのはどうしてかという話だ。もしかしたら、自分が育てた花が綺麗に咲くことで、満足感が得られるからかもしれない。あるいは、「アタタカクナッタラ、タネヲマコウ、ハナヲウエヨウ」というのが遥か昔からDNAにインプットされている可能性だってなきにしもあらず。
別にどんな理由でもいいか。
今年は何を植えよう。
春の日差しをたっぷり浴びて、少しずつ大きくなっていくのを見るのが、今から楽しみだ。