とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

日記

生活駄文・十

車窓に映る私は、キンパを頬張りモグモグと口を動かしていた。 新幹線に乗った時の話だ。 本を読むのに疲れ、寝ることにも飽きると、大抵は窓の外をボーッと眺めている。日が沈み、外が暗くなり始めると車窓は鏡になる。外を見ていると、ふとした瞬間に自分…

生活駄文・九

コーヒーショップにて。 また注文してしまった。何をって、あまり好きではないメニューを。商品を受け取って、一口飲んでびっくりした。 「あれ? これ前にも頼んだことあるぞ。しかもあんまり好きな味じゃない…」 やっちまった。なぜだ。もう二度目は注文し…

幻の通学路

先日、ふと思い立って、散歩がてら小学校の時の通学路を歩いた。卒業以来だったからかなり久しぶりだ。 家から小学校までは、当時の歩くスピードで20分以上かかる距離だ。よく毎日歩いたもんだと今更ながら感心した。そのおかげで、と言っていいのかは分から…

悲劇の小指

また足の小指をぶつけた。何であんなに痛いのだろうか。 朝起きてトイレに行こうとベッドから降り、歩きだそうとした瞬間近くにあったイスに激突。「いっ!」とスタッカートがついた音を発した。本当に痛いときは「痛い!」なんて言えない。よって、“声”では…

冬の太陽

久しぶりに陽光を浴びた。 ここ何日間かずっと曇りか雨か雪だったから気分が沈んでいたが、やっと青空を見ることができた。気分がいい。こういう日は外に出たくなる。夏はあんなに日焼けを気にして日光を避けていたのに、待ってましたと言わんばかりに浴びに…

湯けむりと椿

露天の湯に浸かりながら、椿を見た。少しぼやけた赤だった。冬の朝の冷えた空気によく似合う、張りのある赤が見たかった。しかし目の前が霞んでいた。湯けむりだ。立ち昇る湯けむりが椿の姿を絶え間なく隠すのだった。けむりを払おうと腕を振ったが、一向に…

生活駄文・八

9月某日 コンビニで久しぶりにカルピスウォーターを買おうとした。だが、冷蔵室の扉を開けてペットボトルを手に取ろうとした瞬間、「ん?」と躊躇いが生じた。なぜ躊躇うのだろう。久しぶりのカルピスウォーター。それはとても暑い日だった。喉が渇いていた…

生活駄文・七

8月某日 シシトウガラシは、トウガラシという名前がついているが辛みがほとんどない品種だ。味はピーマンに似ている。ほんのり苦みがあり美味しいのだが、稀に激辛のものが混ざっていることがある。そう、その辛いやつを一日に2本も食べてしまったのだ。見…

跡形もなく消えたとしても

私が借りている駐車場の隣の家には、立派な桜の木があった。昨日までは確かにそこにあった。でも今は跡形もなく消えている。本当に桜の木があったのかと疑いたくなるくらいきれいに消えていたから驚いた。なんだかとても寂しかった。その家はもともと空き家…

生活駄文・六

6月某日 その日は出張で東京駅に降り立った。人、人、人。とにかく人が多い。自分の乗るべき電車に向かう人々が縦、横、斜めと様々な方向に行き交う。その流れの中で立ち止まることはできない。水の流れをせき止めてしまうことになるから。いつ来てもせわし…

霧の中へ

ある日の夜11時半頃、出張から帰ってきて駅を出ると、一面霧に覆われていた。空気はひんやりしていてゾクッとした。ただ寒いだけではない。なんだが心がざわつくような気配がした。駅から自宅まではタクシーを使った。車窓から眺める景色はいつもの見慣れた…

煙の誘惑

スーパーの駐車場にて。 車を降りた瞬間、なんとも香ばしい匂いが鼻を襲撃し、思わず深呼吸。「なんじゃ?この香りは?どこから香ってくるのじゃ?」なんて昨日見た時代劇に影響されまくったつぶやき(もちろん声には出さずに心の中で)と共に周囲を見渡した…

生活駄文・五

5月某日 ある日の夕暮れ。つい先ほどまで雨が降っていたことを証明するような、湿り気のある香りが立ちこめていた。雨は嫌いだ。雨の日は体が重くて気が滅入る。その日もどんよりした気分で職場から駐車場まで歩いていた。すると、視界の隅に“色”を捉えた。…

生活駄文・四

4月某日 銭湯に行った時のこと。 休日ということもあり、いつもよりも人が多かった。サウナは苦手だが温泉なら2時間くらいは余裕だ(途中でシャンプーをする時間も含めて)。何よりも液体の中にいるのが心地いい。ぼんやりすることを歓迎してもらえる空間で…

無知の恐怖

先日、祖母から相談されたことがある。それは、スマートフォンの料金プランについてだった。契約時の話を聞いて、契約書やプランの内容を読んで憤りを覚えた。なぜか。オブラートに包まずに言えば、“無知な消費者を食い物にしている”と感じたからだ。販売し…

上野公園迷子記録

先週、上野の東京都美術館で開催中の「エゴン・シーレ展」を見にいった。チケットはオンラインで既に購入していたため、予約の時間から1時間以内であればいつでも入場できる。時間ではなく、時間枠の予約ってすごくありがたいのだが、時間内であればいつでも…

ある街の冬三景【三、束の間の眩しさ】

冬の空はほとんど灰色だ。雪が降っていれば限りなく白に近い灰色。分厚く黒っぽい雲しかない日は、まるで嘔吐寸前のゲッソリした顔に見下ろされているような気がして気が滅入る。その分厚い雲から何かがポロリと落ちてきたかと思うと、次から次へと白い粒が…

生活駄文・三

チーズをトッピングした牛丼をはじめて食べた。 いつもはキムチをトッピングしていたが、新しい味を試してみようとチーズをトッピングした。食べてみてびっくり、とっても美味しい。牛丼の濃いめのタレの味がチーズでマイルドになって、うまみが増したような…

ある街の冬三景【二、期間限定重労働】

雪が積もると日常生活においてやるべきことが一つ増える。除雪だ。“大人になると雪が嫌いになる理由”の8割くらいを占めると思われる除雪だ。たとえば一晩で20センチ積もるとしよう。朝になれば、防寒着で身を包みカラフルな除雪スコップを持った人々が各々の…

ある街の冬三景【一、白い闇】

雪は空から降ってくる。何も間違っていない。「それ以外はあるのか」と笑われそうだが、そう言われたら大きな声で「あります」と答える。雪は横からも、下からも降る。いや、下から降るとは言わないか。正しくは、下から吹き上げてくる、だ。 ホワイトアウト…

生活駄文・年末年始編

年末年始の時間感覚はつくづくおもしろいと思う。 12月に入ってから何となく忙しい気がしてきて、クリスマスの日が終わった瞬間からなぜか1月1日に向かって走っているような気になる。別に忙しくする必要はないのに。スーパーには正月に食べる食材が並び始め…

生活駄文・二

11月某日 ガソリンスタンドにて。絶対にあり得ない言い間違いをした。 「現金で、レギュラー15ミリリットルお願いします」 言い終えてから、口がなんとなく気持ち悪い気がしたが間違いに気がつかなかった。店員さんは一瞬の沈黙の後、 「15リットルです…

知らぬ間に、青アザ

なぜだがよく分からないが、知らないうちに青アザができていることがある。足や腕に。心当たりがあるかと思案してみても、特段思い当たることがない。誰かに殴られたわけでもないのでおそらく自分でどこかにぶつけたのだろう。その時は痛いと思ったかもしれ…

惑う客

ファミレスで、デザートを注文したと仮定しよう。 そのデザートを食後に持ってきてもらうことにした場合、食べ終わったタイミングで店員さんに声をかけるべきなのか、それとも、食べ終わった雰囲気を精一杯醸し出し、「デザートお持ちしましょうか?」の声を…

150円

ブックオフに行った。 不要になった資格試験の問題集を売却するためだ。書き込み等は一切していないので状態は良好。これはゴミではない、問題集として別の誰かの役に立つ可能性がまだ十分にある、そう思い売ることにした。 新品の問題集は決してお手頃価格…

生活駄文

手で切れると書いてあるシャンプーの詰め替え用の切り口が全く上手く切れないのはなぜだろう。開け方の問題なのだろうか。数ヶ月に一度訪れる、シャンプーやボディーソープの詰め替えという作業は、綺麗に開けられるか否かの勝負の時間となる。ということで…