日々の断片採集記

映画化もドラマ化もしない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

日記

【瀬戸内旅行記③】念願の直島~カタコトの日本語

8月22日(金) 次の日の朝も早かった。フェリーの1便に乗りたかったから。この旅のメインである「直島」に少しでも早く上陸したかった。出航の40分くらい前には港に到着したが、すでに長い行列ができていた。さすが直島。私の後ろにもすぐに行列ができはじめ…

【瀬戸内旅行記②】やっぱり讃岐うどん~一期一会

港に戻ると、高松港へ戻る最終便であったためか長蛇の列ができていた。この小さな島にこんなに人が来ていたんだと驚いた。夕暮れの瀬戸内海の美しさをなんと表現したら伝わるのか、ずっと考えているが、何も浮かんでこない。ただ黙って水平線を見つめている…

【瀬戸内旅行記①】旅立ち~いざ、鬼ヶ島

季節は冬。しかし、5回に渡って真夏の旅行記をお届けする。 8月21日(木) 東北の港町から、憧れの瀬戸内海へ旅立った。 今年は3年に一度の瀬戸内国際芸術祭が開催される年であったため、これはチャンスだと思い、4カ月ほど前から旅行の計画していた。船で島…

服を着た言葉、裸の言葉

例えば日記。 人様の目に触れることは決してない極めて個人的な記録だ。そして、三日坊主な私が10年以上続けることができている極めて稀有なものだ。毎日寝る前にほんの数行シャープペンシルを使って書いている。たいていはその日あったことを書いて、感想を…

生臭ジャケットとの一週間

4月4日(金) それは職場の歓送迎会中に起こりました。 テーブルの上にはたくさんの魚料理が並んでいました。わたくし、煮魚の入った皿を持ち上げた瞬間、手が滑って盛大にぶちまけてしまったのです。その時に運悪くジャケットの袖に煮汁がついてしまいま…

消しカスの記憶

職場のデスクにあった小さなゴミを見たとき、ふとある記憶が蘇ってきた。 学生時代よくやってしまっていたこと。そう、消しカスを床にはたき落とす行為だ。 よく考えたらゴミを床に落とすなんてポイ捨てと同じことなのに、ついやってしまっていた。もちろん…

帳尻合わせの悪夢

久しぶりに会った人と、たくさん美味しいものを食べて、ものすごく楽しい時間を過ごせた。「ああ今幸せだな」と実感した日だった。 でも、そんな日の夜になぜか悪夢を見た。 流し見ていたニュース番組でたまたま目にとまった爆撃映像と似たような状況の夢。 …

パフェを食べて脳が活性化した(ような気がした)話

8月、北海道に旅行に行った。 友達に会うことが目的だったこともあり、観光地をたくさん巡るつもりはなく、そこまで過密スケジュールにはしたくなかった。そんな中でも、いくつかクリアしたいミッションを持っていった。その一つが、「シメパフェ」を食べる…

夏と蛙

蛙が壁に張り付いていた。 前日まで長期滞在していた雨雲がどこか遠くへ行き、容赦なく日差しが照りつけた。 本格的な夏初日の午後である。 ゴミを捨てようと外に出ると、目の前に小さな蛙がいた。 ちょうど日陰になっていたので、一旦休憩中といったところ…

午後8時の車窓には

車窓に映る私は、キンパを頬張りモグモグと口を動かしていた。 新幹線に乗った時の話だ。 本を読むのに疲れ、寝ることにも飽きると、大抵は窓の外をボーッと眺めている。日が沈み、外が暗くなり始めると車窓は鏡になる。外を見ていると、ふとした瞬間に自分…

愛しきバグ

コーヒーショップにて。 また注文してしまった。何をって、あまり好きではないメニューを。商品を受け取って、一口飲んでびっくりした。 「あれ? これ前にも頼んだことあるぞ。しかもあんまり好きな味じゃない…」 やっちまった。なぜだ。もう二度目は注文し…

幻の通学路

先日、ふと思い立って、散歩がてら小学校の時の通学路を歩いた。卒業以来だったからかなり久しぶりだ。 家から小学校までは、当時の歩くスピードで20分以上かかる距離だ。よく毎日歩いたもんだと今更ながら感心した。そのおかげで、と言っていいのかは分から…

悲劇の小指

また足の小指をぶつけた。何であんなに痛いのだろうか。 朝起きてトイレに行こうとベッドから降り、歩きだそうとした瞬間近くにあったイスに激突。「いっ!」とスタッカートがついた音を発した。本当に痛いときは「痛い!」なんて言えない。よって、“声”では…

冬の太陽

久しぶりに陽光を浴びた。 ここ何日間かずっと曇りか雨か雪だったから気分が沈んでいたが、やっと青空を見ることができた。気分がいい。こういう日は外に出たくなる。夏はあんなに日焼けを気にして日光を避けていたのに、待ってましたと言わんばかりに浴びに…

あつすぎたなつ

猛暑、猛暑の夏だった。 ひたすら暑さに耐えた夏だった。危険な暑さと言われても家から一歩も出ないで生活はできない。朝、玄関のドアを開ければすでに30℃に達している世界が待ち受けている。 そんな日が続く中、ふと、暑さに慣れはじめていることに気がつい…

ロシアンシシトウ

シシトウガラシは、トウガラシという名前がついているが辛みがほとんどない品種だ。味はピーマンに似ている。ほんのり苦みがあり美味しいのだが、稀に激辛のものが混ざっていることがある。そう、その辛いやつを一日に2本も食べてしまったのだ。見た目は全…

跡形もなく消えたとしても

私が借りている駐車場の隣の家には、立派な桜の木があった。昨日までは確かにそこにあった。でも今は跡形もなく消えている。本当に桜の木があったのかと疑いたくなるくらいきれいに消えていたから驚いた。なんだかとても寂しかった。その家はもともと空き家…

ゆく人、くる人

その日は出張で東京駅に降り立った。人、人、人。とにかく人が多い。自分の乗るべき電車に向かう人々が縦、横、斜めと様々な方向に行き交う。その流れの中で立ち止まることはできない。水の流れをせき止めてしまうことになるから。いつ来てもせわしない場所…

霧の中へ

ある日の夜11時半頃、出張から帰ってきて駅を出ると、一面霧に覆われていた。空気はひんやりしていてゾクッとした。ただ寒いだけではない。なんだが心がざわつくような気配がした。駅から自宅まではタクシーを使った。車窓から眺める景色はいつもの見慣れた…

煙の誘惑

スーパーの駐車場にて。 車を降りた瞬間、なんとも香ばしい匂いが鼻を襲撃し、思わず深呼吸。「なんじゃ?この香りは?どこから香ってくるのじゃ?」なんて昨日見た時代劇に影響されまくったつぶやき(もちろん声には出さずに心の中で)と共に周囲を見渡した…

こっちじゃなくて、そっちか

パソコンでWebサイトが開けなくなった。Wi-Fiは普通に繋がっているのに。以前も同じようなことがあって、近くの量販店でパソコンが壊れていないか見てもらったことがある。その時はパソコンのバージョンをアップデートしていないことが原因だったらしく、ア…

想定外の質問 in 銭湯

銭湯に行った時のこと。 休日ということもあり、いつもよりも人が多かった。サウナは苦手だが温泉なら2時間くらいは余裕だ(途中でシャンプーをする時間も含めて)。何よりも液体の中にいるのが心地いい。ぼんやりすることを歓迎してもらえる空間であること…

上野公園迷子記録

先週、上野の東京都美術館で開催中の「エゴン・シーレ展」を見にいった。チケットはオンラインで既に購入していたため、予約の時間から1時間以内であればいつでも入場できる。時間ではなく、時間枠の予約ってすごくありがたいのだが、時間内であればいつでも…

ある街の冬三景【三、束の間の眩しさ】

冬の空はほとんど灰色だ。雪が降っていれば限りなく白に近い灰色。分厚く黒っぽい雲しかない日は、まるで嘔吐寸前のゲッソリした顔に見下ろされているような気がして気が滅入る。その分厚い雲から何かがポロリと落ちてきたかと思うと、次から次へと白い粒が…

タバスコの罪

チーズをトッピングした牛丼をはじめて食べた。 いつもはキムチをトッピングしていたが、新しい味を試してみようとチーズをトッピングした。食べてみてびっくり、とっても美味しい。牛丼の濃いめのタレの味がチーズでマイルドになって、うまみが増したような…

ある街の冬三景【二、期間限定重労働】

雪が積もると日常生活においてやるべきことが一つ増える。除雪だ。“大人になると雪が嫌いになる理由”の8割くらいを占めると思われる除雪だ。たとえば一晩で20センチ積もるとしよう。朝になれば、防寒着で身を包みカラフルな除雪スコップを持った人々が各々の…

ある街の冬三景【一、白い闇】

雪は空から降ってくる。何も間違っていない。「それ以外はあるのか」と笑われそうだが、そう言われたら大きな声で「あります」と答える。雪は横からも、下からも降る。いや、下から降るとは言わないか。正しくは、下から吹き上げてくる、だ。 ホワイトアウト…

年末年始的時間感覚

年末年始の時間感覚はつくづくおもしろいと思う。 12月に入ってから何となく忙しい気がしてきて、クリスマスの日が終わった瞬間からなぜか1月1日に向かって走っているような気になる。別に忙しくする必要はないのに。スーパーには正月に食べる食材が並び始め…

15ミリリットルの恥

ガソリンスタンドにて。絶対にあり得ない言い間違いをした。 「現金で、レギュラー15ミリリットルお願いします」 言い終えてから、口がなんとなく気持ち悪い気がしたが間違いに気がつかなかった。店員さんは一瞬の沈黙の後、 「15リットルですね、かしこ…

知らぬ間に、青アザ

なぜだがよく分からないが、知らないうちに青アザができていることがある。足や腕に。心当たりがあるかと思案してみても、特段思い当たることがない。誰かに殴られたわけでもないのでおそらく自分でどこかにぶつけたのだろう。その時は痛いと思ったかもしれ…