とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

想定外の質問 in 銭湯

銭湯に行った時のこと。

休日ということもあり、いつもよりも人が多かった。サウナは苦手だが温泉なら2時間くらいは余裕だ(途中でシャンプーをする時間も含めて)。何よりも液体の中にいるのが心地いい。ぼんやりすることを歓迎してもらえる空間であることも嬉しい。その日もいつものように肩までどっぷり浸かってぼんやりしていた。すると、3歳くらいの子どもが「あちっ」と言いながらお湯の中に入ってきた。広い湯船なので空いているスペースは十分あるが、わざわざ私のすぐ隣に入ってきたのだ。が、熱かったようですぐに出て、髪を洗っている母親の元へ行ってしまった。それからすぐに戻ってきて、今度はこちらを見ながら湯の中に入ってきた。騒がしいな…と思いつつ、きれいな丸い目をさらに輝かせて湯に入っている姿に思わず口角が上がってしまった。そんな私を見てその子は無邪気にこう言った。

 

「ひとりぐらしなの?」

 

一瞬、聞き間違えたかと思って固まってしまった。「え?」という言葉さえ出なかった。全く予想もしていなかった方向からボールが飛んできて、ふくらはぎあたりにポテっと当たったようだった。ボールを2つ使ったドッヂボールでよくある悔しい外野行きパターンだ。なぜ今それを聞く…なんて返すわけにもいかず、「実家暮らしだよ」をかみ砕いた表現も思いつかなかったので「そうだよ」とだけ答えた。すると、その答えにまるで興味がないようで「ふうーん」と言って水面をパシャパシャし始めた。私はゆっくりと顔を元の位置に戻し、ぼんやりている脳みそで考え始めた。なんなんだこの何とも言えない気分は。頭の中は「おふろあついね」や「きもちいいね」ではなく、「ひとりぐらしなの?」と尋ねてきた子どものことでいっぱいだった。

 

思うに、「お風呂に一人で来て寂しくないの?」という意味だったのだろう。もしくは、全く何の意味も含んでいないのかもしれない。考え事をしていると、つい長湯になってしまう。