とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

惑う客

ファミレスで、デザートを注文したと仮定しよう。

そのデザートを食後に持ってきてもらうことにした場合、食べ終わったタイミングで店員さんに声をかけるべきなのか、それとも、食べ終わった雰囲気を精一杯醸し出し、「デザートお持ちしましょうか?」の声を待つべきなのか。私はいつも迷ってしまう。

 

こちらから声をかけると、店員さんの腕の見せ所である「デザートお持ちしましょうか?」の声を発する機会を奪ってしまうことになる気がする。お客さんが食べ終わったタイミングで、お皿を下げるのと同時に声をかける。早すぎると急かしているような印象を与えてしまうし、遅すぎてもダメだ。もしかしたら、最高のサービスを提供すべく、その絶妙なタイミングを見計らっているかもしれない。こちらから声をかけてしまうと、店員さんが提供するはずだったサービスを奪ってしまっているとも考えられる。反対に、声をかけられるまで待つということは、「食べ終わりましたけれどもデザートはまだですか?」という無言の圧力を店員さんに与えてしまっているような気がしないでもない。考えすぎだとは思うが。

 

ファミレスでランチをしたときのこと。久しぶりだったのでデザートも頼もうと思い、食後に持ってきてもらうようにデザートを注文した。私は早く食べることが苦手なので、いつものようにスローペースで食事をしていた。食事も終盤に差し掛かった頃、店員さんが私のお皿の様子をチラッと見ながら通り過ぎたが、さすがにまだ「デザートお持ちしますか」の声はかからないだろうと思いながらモグモグしていた。すると、さっき通り過ぎた店員さんが戻ってきてこう言った。

 

「デザートはもう少ししてからの方がいいですよね?」

 

私はモグモグしていたものを急いで飲み込んで、答えた。

 

「そうですね…もう少しかかりそうなので…」

 

別に怒っているわけではないが、言わせてほしい。

 

『まだあと5分くらいはモグモグする予定ですぅ!!』

 

無論、実際に言ってはいないが。これは初めてのパターンだった。おそらく、メインの料理を食べ終えてからすぐにデザートに手を付けられるように、早めに持ってきておこうと考えてくれていたのだろう。ただ、「今持ってきてもいいか」ではなく、「もう少し後でいいよね」とタイミングの確認をされたのは初めてだった(厳密には初めてではないかもしれないが滅多にないので初めてだということにする)ので面食らってしまったのだ。そのあとは、結局自分から「デザートお願いします」と言ったと記憶している。まだ皿に食べ物が残っている状態で声をかけられると、やはり急かされているような気になってしまう。そうはいっても、お昼時の忙しいときに、いちいち一人のお客さんの食事の状況をチェックする余裕などないのだろう。

 

やはり自分から声をかけたほうが賢明なのかもしれない。いや、でもな…。そんなことを思っているが、実はそれと同じくらい、店員さんも迷っているのかもしれない。