とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

フィルムカメラと写真に関する備忘録【後編】

フィルムカメラで写真を撮ることの魅力は何か。

 

“光”と向き合えることかもしれない。

例えば、少し暗めの写真が好きなので、露出計で示されたF値よりも絞ってみたとする。シャッターを切る瞬間、ほんの少し太陽に雲がかかり、光が弱まったことに気がつかずそのまま撮影。現像して撮った写真を確認すると、思っていたよりも暗くてガッカリ…。なんてことがある。自分の設定が悪ければちゃんと失敗するのだ。一眼レフと違い、どの程度の明るさの写真になるかをモニターで確認できないため、わずかな光量の変化にも気付かなくてはならない。加えて、撮影対象の周囲の色にも気を配る必要がある。撮って、現像して、確認して、反省しての繰り返しだ。なんといっても一度撮った写真は消去ができない。しっかりフィルムに記録されている。失敗をなかったことにはできないのだ。だから、じっくり光と向き合える。大変といえばそれまでだが、それがおもしろい。露出計を確認せずとも「今日の光の具合だとこのくらいかな」と絞りとシャッタースピードを設定できるようになりたい。格好良く言えば、光を読む力を身に付けたい。そのためには、もっとたくさん撮らないとな。

 

撮った写真をすぐに見ることができないのもいい。

フィルム1本分を撮り終えてからその写真を確認するまで時間を要する。無限にある日常シーンを、限りあるフィルムに刻む。シャッターを切ることたった36回。その36枚にはどんなものが写っているだろうか。想像しながら現像を待つ間のワクワク、ソワソワする感じがたまらない。

 

だらだらと書いてみて、「あ、こんなこと思ってたのか私」とはじめて気付くこともあった。好きなものを好きな理由なんて普段考えることがないからいい機会だった。同時に、好きなはずなのに意外と筆が進まなかったのが気になった。情熱が足りないのかもしれない。

フィルムカメラで写真を撮ることが好き。それでいいじゃないか。と、思いたいが、夜通し語れるほどの愛がないことに後ろめたさを覚えてしまう。ということを、忘れぬうちに記しておく。