とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

雲を見下ろして

機内にて。

離陸から数十秒後には雲を見下ろしていた。

普段地上で生活をしていて、雲を見上げるとは言うが、雲を見下ろすという言葉を口にすることはまずない。久しぶりに雲を見下ろすと言った。天気がよかったので、白塊の群れの間から地上の景色が見える。ありふれた表現だが、ミニチュアの世界のようで、走行する自動車なんて蟻の行列だった。白塊は流氷のごとく空を漂っていた。その様子を見て、“あれに乗ってどこか遠くに行きたい”と思った。何言ってるんだこいつは、と自分でも驚いた。子どもの頃から考えることは変わらない。雲ってのは水とか氷の粒の集合体で、そもそも乗ることなんてできないんだよ。分かってる。分かってはいるけれど、想像するのは自由だ。

 

雲に乗るのに免許証的なものは必要か? 運転とか操縦の必要がないから不要かもな。じゃあ、雲に乗って世界中を旅するのにパスポートはいるか? 地上に降りるわけではないから要らないか…。そもそも、雲に乗れることを前提にしても、どうやって乗るのだ? 飛行機からはしごを降ろして降り立つか、もしくは、○○タワー最上階に専用はしごを設置して登るか。でも、はしごを登っている(降りている)最中に雲が動いてしまえば大変だ。乗り降りの最中に動かないように固定する装置が必要かも。あ、雲の性質によって乗れない日もあるよな。いかにも雷を落としますよという色の雲は絶対に乗れない。そういえば、日焼け対策を万全にしないと真っ黒に日焼けしそうだな。雲から雲への乗り換えも楽しそう。乗り心地に違いはあるのか検証したい。あとは…このくらいにしておこう。

 

久しぶりの空の旅だったからか、はじめて飛行機に乗った時のような高揚感がしばらく続いた。が、窓の外を眺めながら妄想に耽っていたので、この静かな興奮は誰にも気付かれていないだろう。