とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

静寂と歓声

ハンガリーブダペスト世界陸上が開催されている。普段スポーツは全く見ないが、陸上だけはつい見入ってしまう。私自身もともと走ることが好きで、学生時代は陸上競技をやっていた。あの選手のここがすごい、など詳しいわけではないが、世界トップクラスの選手が走っているのを見るとワクワクする。最もグッとくる瞬間は、トラック競技(短距離)のスタートの瞬間だ。

 

スターティングブロックを自分の位置に合わせ、スタート練習を行う。ここでイメージを作り、スタートの瞬間までそのイメージを持ち続けることが大切なのだ。偉そうに解説しているが、テンションがいつもよりも高い状態で書いているため大目にみてほしい。そして、選手紹介があり、いよいよスタートの時。「On Your Marks」でブロックに足をかける。選手たちの集中した表情が映し出されると、見ているこっちも緊張してくる。なんなら、同じように集中してしまう。この時、ざわめいていた会場内がスッと静かになる。ほんの数秒、まるで観客が誰もいなくなったかのような静寂に包まれる。「Set」の合図で腰を上げ静止。「バンッ」とピストル音が鳴った瞬間、ドッと歓声が戻ってくる。表面張力が限界に達してコップから水がこぼれ落ちるように一気に会場がどよめく。歓声って、ものすごいエネルギーを持っている気がする。叫んでいる言葉は違えど、それらが集まって一つの大きな塊のようなものになり、走る・跳ぶ・投げる選手たちを包み込む。

 

この静寂と歓声のコントラストがなんとも言えない。自分が競技をやっていた時はあまり意識していなかったが、見る側になるとこんなにもグッとくるものなのかと驚いている。決勝ともなれば、観客の視線を一挙に集めることになる。視線と歓声に呑まれることなく、集中力を保ち、最高のパフォーマンスをする選手たちは本当に格好いい。