とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

美術展巡り8月

◆8/19(土)国立新美術館(東京都)

 

【蔡國強 宇宙遊―〈原初火球〉から始まる】

火薬を爆発させて描いていることに驚くとともに、その絵からものすごいエネルギーが伝わってきた。静かにそこにある絵は、激しい爆発(=「動」)によって生まれた。この「静」と「動」が共存した作品の数々に衝撃を受けた。爆発から始まった宇宙は今も膨張を続けているが、日常でそんなことを実感する瞬間はまずない。刻一刻と変化していてもその変化は目には見えない。宇宙に限ったことではないが、見えないものは「存在していない」わけではない。見ようとすることではじめて見えてくるものがもっとたくさんあるのだろう。一つひとつの作品から見えないエネルギーが溢れ出て、会場に充満している気がした。

 

【テート美術館展 光―ターナー印象派から現代へ】

ターナーの絵を間近で見ることができて感動した。光の気配というか、記憶の中のぼんやりしたイメージを描いているようで、見た瞬間ガツンとくるようなインパクトはさほどないが、じんわりと少しずつ体に浸透していくような絵だと思った。この展示は「光」をテーマにしており、絵画からインスタレーションまで様々な作品があった。その中でも印象に残っているのは、ジェームズ・タレルの《レイマー、ブルー》という作品だ。青い光の中に長方形が浮かび上がってくるこの作品は、見るというより体感するといった方が正しいかもしれない。そこにあるのは青い光と図形だけ。どんな作品かを説明しようにも、うまく言葉が出てこない。強いて言うなら、何を見るかを試されている作品、だろうか。

 

「何も描かれていない? いいや、あなたが何も見いだせなかっただけではないか。」

 

この作品と対峙することは、自分自身と向き合うことなのかもしれない。挑発的とも感じられるが、なぜか惹かれた。