とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

あなたをなんと呼んだらいいか?

ニュースを見ていて気になったことがあった。

取材をしている記者が、インタビュー相手のことを「お父さん」と呼んでいたことだ。なぜ他人なのに「お父さん」と呼ぶのだろうか。二人称と言えば「あなた」だが、日常会話であまり使わない気がする。街頭インタビューで「あなたは今日何を買いにきたんですか?」と聞くのは何だか堅苦しい。相手が緊張せずに話せるように「お父さん」と呼びかけるのだろうか。その人に子どもがいなかったら「お父さん」ではないのに。

 

私がもし「お母さん、ちょっとお話伺っていいですか?」なんて聞かれたらどう感じるだろうかと想像した。たぶん、「うちはあんたの母ちゃんちゃうで」と思うだろう(思うだけ。口に出す勇気はない)。では、なんと呼ばれるのがいいのか。「お姉さん」かそれとも…それ以上思いつかない。たしかに、見ず知らずの人に話しかけるとき、何と呼びかけたらいいか分からない。結局、「すみません、お話伺っていいですか?」が一番しっくりくる。でも、何となく“あなたじゃなくても誰でもいいんですけどね”的な雰囲気が感じ取れる。他方、「お母さん、お話伺っていいですか?」は、“今目の前にいるあなたにぜひ話を聞きたい”という気持ち(本当はそう思っていないかもしれないが)がほんの少し伝わってくる。たった一言、本当にわずかな違いだが、そのわずかな違いが、インタビューを受けるか否かの判断材料になるのかもしれない。

 

そうすると、見ず知らずの人を「お父さん」や「お母さん」と呼ぶとき、それは単に「すみません」の代替品にすぎないのであって、別に父・母の目線からの意見を述べる必要なんてないのだろう。よって、子どもがいようがいまいが関係ない。ただ、他人にそういう呼び方をされると、不快に感じる人もいると思う。やはり、「すみません」と話しかけるのが一番いいのかも。