とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

マンゴーかき氷×3

母と祖母と台湾料理の店に行った。

 

この時期限定のマンゴーかき氷を食べることが一番の目的だった。この時期を逃してしまうと次は1年後になってしまう。普段は食に対してこだわりがない私だが、あのおいしさを分かち合いたいがために店を予約した。天気は快晴、絶好のかき氷日和だった。

 

しかし、まずはかき氷の前に腹ごしらえ。というか、辛いもので一汗かいてベストコンディションにするつもりだった。麻婆ラーメンは辛さを控えめにしたが山椒の刺激がいい感じに効いて大量発汗。一汗どころではない。「辛っ!」ではなく、「痺れるっ!」という表現の方がしっくりくる。でもめちゃくちゃ美味しい。美味しいが、麺を口に含む度にピリピリと微量の電流が流れているような気さえして、口の中の細胞が活性化され料理人並の繊細な味覚を手に入れることができるのではないかと少し期待した。私と同じく代謝がいい祖母はもちろん、普段汗をかかない母ですら汗をかいていた。思ったよりもベストコンディションに仕上がった。

 

そしてついに、かき氷が目の前に運ばれてきた。向かい側の席にも同じものが二つ。三つのスプーンが同時にかき氷の山を崩しはじめた。かき氷を最後まで少しもこぼさずに食べることができる人を尊敬する。スプーンですくう最中にポロッと器の反対側に氷が落ちてしまった。氷はすぐに溶けてしまい再びすくうことはできなかった。あぁ勿体ない…と思いながら向かいの器を見ると周囲に溶けた跡が…。

フワッとした氷を頬張れば一瞬で溶けてしまうが、爽やかな南国の香りがずっと口の中に残る。マンゴーの果実もふんだんに入っている。つやつやとしたオレンジ色は太陽に愛されて育った証なのだろうと思いながら果実を噛みしめる。顔を上げると二つの笑顔。美味しいと言いながら夢中でスプーンを上下に往復させる姿を見て、「あ、今幸せかも」と思った。そしてなぜか涙が出そうになった。ただ三人で期間限定のかき氷を食べているだけ、たったそれだけで私は幸せだった。

美味しいものは「美味しい」と言い合える人と食べることでさらに美味しくなる。今更ながら実感した。マンゴーかき氷、今のところ、“人生最高の一品”かもしれない。