とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

雑記

〈モナ・リザ〉と永遠の美

「この人みたいにずっと年取らなきゃいいのにな」 私の透明なスマホケースに入っている〈モナ・リザ〉のステッカーを見て、祖母はボソッとこう言った。冗談っぽい口調だったので本当にそう思っていたわけではないと思うが、そういう見方もあるのかと、新しい…

妄想米(コメ)旅行記

今、目の前には茶碗に盛られた白米があります。 炊きたてなのでしょう、湯気が立ち上っております。湯気に顔を近づけますと、熱気と共に米の香りが鼻腔を通って口の中まで侵入してきます。その柔らかい刺激は唾液の分泌を促します。口内はその米を受け入れる…

火葬場のおにぎり

日を追うごとに夜の時間が長くなってきた。秋場の空気は今年も人々を感傷的な気分にさせる。さあみんなでエモくなろうと言わんばかりのなんともいえない香りが漂い始めていた頃、祖父の葬儀は執り行われた。 祖父の葬儀の日は雲一つない秋晴れだった。火葬場…

花は咲くまで分からない

昨年、祖父の三回忌の法要があった。セレモニーホールで住職さん(おそらく40代前半)にお経をあげてもらった後、そのままお墓参りに行き、再びホールに戻りソーシャルディスタンス昼食をとるというスケジュール。滞りなく全ての日程を終えたいというのは、…

大人の世界とこどものせかい

公園にて。 私はベンチで本を読んでいた。すると、自転車で、小学校中学年くらいの男の子が3人やってきた。男の子らは、遊具で遊び始めた。しばらくすると、芝生でサッカーをしていた別の男の子のグループ(年齢は同じく小学校中学年くらいだと思う)が、遊…

日常に潜む違和感

ある日の昼、職場のトイレに入ると、2~3人が列を成していた。その列というのは、ちょうど手洗い場の反対側の壁沿いにできている。ということは、用を足した人が手を洗い、ふと顔を上げると、列に並んでいる人と鏡越しに目が合ってしまうような位置関係なの…

熱狂のあとで

中学時代の美術の先生が授業開始前に話していたことを今でも覚えている。どんな話かというと、お祭り当日の熱気と活気に溢れた街もいいが、祭りが終わった次の日の静けさも趣があって好きだ、という話だ。夏の時期は花火大会や地域の夏祭りなど、イベントが…

ポストから見えたのは…

学生時代に、フリーペーパーのポスティングのアルバイトをやっていたことがある。大きめのリュックの中にフリーペーパーをパンパンになるまで詰め込んで、地図を片手にひたすらポストを目指して歩き回るというものだった。こんなに多く紙というものを背負っ…

水彩の記録

灰色の雲から、大きな雨粒が落ちてきた。車のフロントガラスにポロポロと当たっては弾け、その役割を終えたかのように力なくボンネットの方へ流れていく。また雨か。このところワイパーに仕事をしてもらう機会が多い。カラッとした晴天の日が恋しい。 そんな…

三人称の死と感情

例えば、生まれてから約1,000日で死んだ人がいる。その人は、社会の中ではほんとうに小さな存在で、誰かに守ってもらわないと生きていけなかった。その人は、守ってもらえなかった。その人が最後に見た景色は何だっただろうか。天井だっただろうか。誰もいな…

レイヤードワールド

私は演劇が好きだ。 映画も好きだが、演劇はもっと好きだ。なぜだろうと考えた。芝居を見ることが好きなら、別に映画でもドラマでも同じであるはず。でも、また何か違う惹きつけるものがあるのだろう。その日、その場所でしか味わうことができない貴重さがあ…

見せたくはないが、見えてもいいものを

暑さが体にまとわりつく、一年で最も不快な季節がやってきた。同時に、肌の露出増加に伴う諸々の気遣いの季節がやってきた。私が最近直面したのは、「インナーをわざと見せているのか、否か」問題である。 夏の時期は七分丈の開襟シャツを着ることが多い。サ…

ストレス的マスクライフ

職場の人の顔、覚えてますか? 私は最近、入社したときからマスクを付けていたがために、職場の上司や同僚の顔が思い出せなくなる時がある。というか、マスクを外した顔を見たことがあったっけ、という人もいる。もはやマスクに慣れすぎて、付けていないと気…