とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

2023-01-01から1年間の記事一覧

遠き春、近き春

2021年4月某日 今年も桜の季節が終わりを迎えようとしている。開花、そして満開になり、散る時期が年々早まっていると感じるのは、気のせいではないだろう。そんなに急がなくともいいのに、と思わずにはいられない。さて、今年も桜を見ていて思うことがあっ…

春の跡

2020年4月某日 なぜ人は桜を美しいと思うのだろうか? 満開の桜を見ながらふと考えた。いや、そもそも美しい理由を考えること自体野暮だという人もいるはず。私もそう思う。綺麗なら綺麗でいいじゃないか。「桜=美しい」という方程式は普遍的なものなのだろ…

無知の恐怖

先日、祖母から相談されたことがある。それは、スマートフォンの料金プランについてだった。契約時の話を聞いて、契約書やプランの内容を読んで憤りを覚えた。なぜか。オブラートに包まずに言えば、“無知な消費者を食い物にしている”と感じたからだ。販売し…

上野公園迷子記録

先週、上野の東京都美術館で開催中の「エゴン・シーレ展」を見にいった。チケットはオンラインで既に購入していたため、予約の時間から1時間以内であればいつでも入場できる。時間ではなく、時間枠の予約ってすごくありがたいのだが、時間内であればいつでも…

【読書記録⑥】暗がりと美的感覚

◆読んだ本 『陰翳礼讃・文章読本』/谷崎潤一郎/新潮社/2016年 漆器に触れる機会がほとんどなかった私は、漆器に美を見いだす感覚が分からなかった。正直に言えば、お吸い物が入っている黒とか赤で塗られた器という認識しかなかった。しかし、この本を読ん…

自らを欺く勿れ

「好きな季節は何ですか?」 と問われたら、何と答えるだろうか。この場合、春夏秋冬のどれかを答えればいいのだが、私はすぐに答えることができなかった。なぜか。それは、自分の好きな季節が、春夏秋冬のどれでもあり、どれでもないからだ。言っている意味…

渇き。

幼い頃は、物に振り回されていた。 例えばチョコレート菓子とセットになっているおもちゃのネックレス。よく覚えていないがネックレスは10種類くらいあったと思う。それを集めるのにはまってしまい、スーパーに行くと必ずお菓子コーナーに行き、母の買い物カ…

ある街の冬三景【三、束の間の眩しさ】

冬の空はほとんど灰色だ。雪が降っていれば限りなく白に近い灰色。分厚く黒っぽい雲しかない日は、まるで嘔吐寸前のゲッソリした顔に見下ろされているような気がして気が滅入る。その分厚い雲から何かがポロリと落ちてきたかと思うと、次から次へと白い粒が…

タバスコの罪

チーズをトッピングした牛丼をはじめて食べた。 いつもはキムチをトッピングしていたが、新しい味を試してみようとチーズをトッピングした。食べてみてびっくり、とっても美味しい。牛丼の濃いめのタレの味がチーズでマイルドになって、うまみが増したような…

ある街の冬三景【二、期間限定重労働】

雪が積もると日常生活においてやるべきことが一つ増える。除雪だ。“大人になると雪が嫌いになる理由”の8割くらいを占めると思われる除雪だ。たとえば一晩で20センチ積もるとしよう。朝になれば、防寒着で身を包みカラフルな除雪スコップを持った人々が各々の…

ある街の冬三景【一、白い闇】

雪は空から降ってくる。何も間違っていない。「それ以外はあるのか」と笑われそうだが、そう言われたら大きな声で「あります」と答える。雪は横からも、下からも降る。いや、下から降るとは言わないか。正しくは、下から吹き上げてくる、だ。 ホワイトアウト…

【読書記録⑤】つながりとぜつえん

◆読んだ本 『絶縁』/著者:アルフィアン・サアット、チョン・セラン、郝景芳、韓麗珠、ラシャムジャ、連明偉、グエン・ゴック・トゥ、村田沙耶香、ウィワット・ルートウィワットウォンサー 訳者:及川茜、藤井光、大久保洋子、星泉、野平宗弘、吉川凪、福富…

【読書記録④】働き方と暮らし方と家の形

◆読んだ本 『脱住宅 「小さな経済圏」を設計する』/山本理顕+仲俊治/平凡社/2018年 そういえば、どこの家も同じような作りをしていたっけ。幼い頃、友達の家へ遊びに行った時の記憶がふと蘇ってきた。大体1階にはリビングがあって、2階には寝室や子供部…

こんな所に道があったとは

しまった、キャッシュカードの暗証番号を忘れた。 口座を開設後、初めて現金を引き出すというおめでたい日に、ATMの前でフリーズした。口座の暗証番号なんて、頭の中のどの辺を検索すれば見つかるのだろうか。よく使うメールアドレスやID、パスワードは記憶…

年末年始的時間感覚

年末年始の時間感覚はつくづくおもしろいと思う。 12月に入ってから何となく忙しい気がしてきて、クリスマスの日が終わった瞬間からなぜか1月1日に向かって走っているような気になる。別に忙しくする必要はないのに。スーパーには正月に食べる食材が並び始め…