とりあえずそこ置いといて

映画化も、ドラマ化もしない何でもない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

時よ止まるな

2024年4月某日 川沿いの桜並木道を走る。 毎年の密かな楽しみだ。先週までまだ蕾だった花はすっかり満開になった。西に傾き始めた陽光が水面に反射していつにも増して眩しかった。桜並木を通るといつも脳内で再生されるのは、クロード・ドビュッシーの「アラ…

虚像を生きる

2023年4月某日 茨木のり子さんの詩が好きだ。歯切れのよい言葉の奥にある強い思いに共鳴する。特に好きなのが、〈さくら〉という詩だ。その中にこんな言葉がある。 さくらふぶきの下を ふららと歩けば 一瞬 名僧のごとくにわかるのです 死こそ常態 生はいと…

私と桜とマルとバツ

2022年4月某日 桜の季節になると思い出すことがある。 小学時代、オリジナルカレンダーを制作するという内容の授業があった。何の科目だったかは覚えていない。国語だった気もするし、そうでない気もする。とにかく、12枚の紙が配布された。その紙は上下に分…

遠き春、近き春

2021年4月某日 今年も桜の季節が終わりを迎えようとしている。開花、そして満開になり、散る時期が年々早まっていると感じるのは、気のせいではないだろう。そんなに急がなくともいいのに、と思わずにはいられない。さて、今年も桜を見ていて思うことがあっ…

春の跡

2020年4月某日 なぜ人は桜を美しいと思うのだろうか? 満開の桜を見ながらふと考えた。いや、そもそも美しい理由を考えること自体野暮だという人もいるはず。私もそう思う。綺麗なら綺麗でいいじゃないか。「桜=美しい」という方程式は普遍的なものなのだろ…