日々の断片採集記

映画化もドラマ化もしない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

植物

いけばな端文集

ep.1 ヒュルルン 日本のオノマトペは種類が豊富だ。 ザーザー、パラパラ、しとしと…確かに雨の降り方一つとってみても、一体何種類あるのかと驚く。可愛らしい小さな白い穂が付いたネコヤナギをいけようと手に持った瞬間、頭の中で流れ出したのは、童謡「北…

【植物スナップ⑩】夏の香りと雑草

クマバチの飛ぶ音を最大音量まで上げたような大きな音が、日曜日の夕方に響き渡っていた。川沿いの土手で草刈りをしていたのだ。この時期、雨と日差しをたっぷり浴びた草は、ありえないくらいの速さで成長する。そのあまりの逞しさに恐怖すら感じることがあ…

【植物スナップ⑨】霧雨とアヤメ

日曜日の午前中、ランニングをしていた時のこと。 雨雲というには少々明るいライトグレイの雲間から水滴が落ちてきた。その水滴は霧吹きから出てきたように細かく、このくらいなら濡れないだろうと油断させるようなものだった。これは雨ではない。だから引き…

【植物スナップ⑧】花屋とチューリップ

先日、花屋さんに行った。 長く居座る寒波の影響で外は雪景色。 空気が冷たいと呼吸が浅くなりがちだ。深呼吸すると肺が凍りそうになるから。でも、花屋さんに入ると深呼吸したくなる。花をはじめ葉っぱなど植物の香りが充満しているから。それは必ずしもい…

【植物スナップ⑦】雪と落葉樹

葉を全て落とした枝に雪が降り積もった。 純白の新雪を纏った木々は、初冬の色のない世界に埋もれていたその輪郭をくっきりと取り戻した。夏にあれだけ生い茂って生命力を誇示していたが、葉を一斉解雇してからはなんだか寂しそうだった。師走になり忙しなく…

【植物スナップ⑥】海とソテツ

先日宮崎県に出張に行った時、ソテツの木をはじめて見た。 そもそも九州地方にはじめて行ったので、空港を出た瞬間に見える南国の木々に圧倒された。道路の中央部分離帯には高さ15メートルはあるワシントニアパームが存在感を放っているし、青空に映える鮮や…

【植物スナップ⑤】ベンチと彼岸花

たまに通るランニングコースの川沿いのベンチの後ろに彼岸花が咲いていた。 ベンチに座ると花が見えない。 なぜこの場所に植えたのか? 水面に夕日が反射してチラチラと目を刺激する。 休憩しようとベンチに座った。 気がつくと隣に、すでにこの世にいないは…

【植物スナップ④】太陽とひまわり

夏の象徴であるひまわり。 太陽に向かって思いっきり花開くその姿は眩しくて、思わず目を細めてしまう。 1本でも十分存在感があるが、ひまわりの花畑ときたらまるでパワースポットかのようにエネルギーが充満している気がする。太陽を直接浴びるよりも、陽光…

【植物スナップ③】雨とつつじ

ある日の夕暮れ。 つい先ほどまで雨が降っていたことを証明するような、湿り気のある香りが立ちこめていた。 雨は嫌いだ。雨の日は体が重くて気が滅入る。 その日もどんよりした気分で職場から駐車場まで歩いていた。 すると、視界の隅に“色”を捉えた。 濃く…

【植物スナップ②】風とハマダイコン

川沿いの土手が一面白い花で覆われていた。 正確に言えば、花びらの先端が薄い紫色をしている白い花だ。 夕方の風を浴びてユラユラと気持ちよさそうに揺れていた。 春の暮れ。 気温、湿度、日照時間、全てがちょうどよいと感じる短い期間。 心地よすぎて夢を…

【植物スナップ①】湯けむりと椿

露天の湯に浸かりながら、椿を見た。 少しぼやけた赤だった。 冬の朝の冷えた空気によく似合う、張りのある赤が見たかった。 しかし目の前が霞んでいた。湯けむりだ。 立ち昇る湯けむりが椿の姿を絶え間なく隠すのだった。 けむりを払おうと腕を振ったが、一…