先日、花屋さんに行った。
長く居座る寒波の影響で外は雪景色。
空気が冷たいと呼吸が浅くなりがちだ。深呼吸すると肺が凍りそうになるから。でも、花屋さんに入ると深呼吸したくなる。花をはじめ葉っぱなど植物の香りが充満しているから。それは必ずしもいい香りとはいえないかもしれない。花のいい香りだけではない。青臭いような葉ものの香りと花の甘い香りが混ざりあって複雑になって漂っている。香りの話はこれくらいに。
ラインナップもだいぶ春を感じるものになっていた。
モモ、ミモザ、スイートピー、チューリップ…とりわけ小さなチューリップに惹かれた。寒さでキュッと固く閉じられたつぼみは、小指の第二関節くらいの大きさで、開く気配は全くなかった。家は温かいからすぐに開いてしまいそうだな、と思いながらピンクのチューリップを3本、種類の違う赤いチューリップを1本手に取ってレジに向かった。店員さんは慣れた手つきで束をまとめていたが、急にカウンターから出て花が並ぶ棚の方へ向かった。何をするのかと見ていると、赤いチューリップを1本取ってきて、私が選んだチューリップの束に加えた。
「1本サービスしますね!」
と言って包み紙でくるくると束を包んだ。
なんて優しい人なんだと感動した。たった一輪の花が人を笑顔にすることを知っている、それを信じて仕事をしている人だからこそできる行動なのだろう。ほんの小さなサービスでも、心があったかくなるには十分だった。小さな5本のチューリップを抱えて、テンション爆上げなことに気づかれないように静かに微笑んで店を後にした。