日々の断片採集記

映画化もドラマ化もしない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

香る渋谷

久しぶりに渋谷に行った。どのくらいかというと、7年ぶりくらい。

駅が新しくなっているのに驚いた。同時に、スクランブル交差点の人の多さにも驚く。前に来た時よりも多くないか?とさえ感じた。そして、慣れていないせいかうまく渡れない。人と人の間を縫って歩くのはこんなに難しいものなのか。皆まっすぐ歩いているのにそれぞれ目的地が違うから、それぞれの道が交錯しぶつかりそうになる。

 

渋谷を訪れた目的は好きなバンドのライブに行くことだった。ライブハウスを目指して歩いていると、屋外なのにいろんな香りがすることに気がついた。すれ違う人のきつい香水の香りや、路面店から漏れる揚げ物の匂い、スイーツの甘ったるい香り…とにかくいろんな香りがする。私はどちらかというと匂いに敏感であるので、押し寄せる匂いの波に若干気分が悪くなりかけた。

 

メイン通りを抜けて細い路地に入るとなんとなく雰囲気が変わるのが分かる。で、匂いも変わった。もちろん、飲食店から出る匂いは残りつつ、せっけんのような消毒液のような独特の匂いがした。あえて文字で表現するなら、“せいけつなにおい”といったところか。道路には鳥の糞やら、何だか分からない染みも付いていて、おまけにゴミも落ちている。お世辞にも清潔とは言えない環境における匂いとしては意外なものだった。だが、その環境と匂いのコントラストが、この土地の見えていない一面を少しだけ見せてくれている気がした。たぶん、渋谷と聞いて思い浮かぶイメージなんて氷山の一角で、その奥には知ろうとしなければ知りえないディープな世界が広がっているのだろう。

好奇心だけで気軽に足を踏み入れてはいけない―

そんなにおいがした。