日々の断片採集記

映画化もドラマ化もしない日常で感じたことや考えたことの寄せ集め

【映画記録⑥】たしかに輝いていたあの夏

◆観た映画

『この夏の星を見る』

監督/山元環

出演/桜田ひより、水沢林太郎、岡部たかしほか

2025年/日本/126分

 

この映画を見ようと思ったきっかけは音楽だった。

配信されていた「灯星」という曲を聞いて、その音の透明感に心が動いた。そしてその曲が映画の主題歌であること知り、この音が寄り添うのはどんな映画なのだろうと興味を抱いたのだった。音楽を担当したharuka nakamuraさんの音に惹かれ、映画を見る前に主題歌のみならず、サウンドトラックを何度も聞いてしまった。音楽から映画に入ったのは初めてかもしれない。

 

映画では、コロナ禍に青春期を過ごす主人公・亜紗たちの心の機微が丁寧に描かれていた。驚いたのは、マスクを着用した映像が映画の半分以上を占めていたことだ。今となってはもうすでに過去の出来事であるが、マスクの映像を見るとすぐに、あの頃の目に見えないウイルスへの恐怖や、思うように生活できない苛立ちの感覚が蘇ってくる。だからこそ、登場人物たちに感情移入しやすかった。鬱々とした雰囲気の中でも、星を見上げているシーンは、閉じていた窓を一気に開けるような解放感があった。コロナに青春の貴重な機会を奪い去られたかのように見えても、本当はそうではないのかもしれない。若手の役者陣の瑞々しい表現から、「この夜空を美しいと感じる心は奪われてたまるか」「人と人が繋がることを諦めたくない」という強い思いが伝わってきた。

 

映画の構成でおもしろいと思ったのが、冒頭・終盤と中盤で主役が変わっていることだ。ドラマではよくある、主人公以外の人物の“ピックアップ回”のようなものがあった。映画の主人公は、茨城の高校生・亜紗だが、「スターキャッチコンテスト」の場面においては、明らかに、参加した東京、長崎・五島の中高生が主役だった。亜紗の視点では知ることができない、コンテストに参加した学生の生活や気持ちを知ることで、同じ夜空でもそれぞれ違った見え方がしたような気がした(もちろん、観測地点が異なるので周囲の環境によって星の見え方が違うというだけかもしれないが)。

 

実は私も幼稚園の頃に星が好きになり、小学校の夏の自由研究では、月の満ち欠けや星座について調べるくらいのめり込んでいた。でもいつの間にか関心が薄れ、今は星とは全く関係のない生活を送っている。でも、時々飲み会の帰りに歩きながら星空を見上げて、一人でワクワクしてしまう(酒が入っているのもあるが…)。昔夢中になったものは、今は何とも思っていないように見えても決して嫌いになったわけではないのだと実感する。何かに夢中になった経験って本当に尊いものだ。いろいろ思い出してしまった。余談でした。まぶしいくらい素敵な映画でした。